この記事では「ダウンジャケットの防水・撥水・耐水機能」について解説します。ダウンジャケットは、雨に濡れると保温性が一気に失われてしまいます。防水・撥水・耐水の違いを知り、用途やシーンに合ったダウンジャケットを選びましょう。
ダウンジャケットの大敵は「水濡れ」です。
どんなに品質のよいダウンを使ったものでも、水が染み込んでしまうと途端に保温性が失われてしまいます。
そこで、水に濡れても効果が失われにくいよう、さまざまな加工を施した製品が増えています。
しかし、優れた防水機能をもつダウンジャケットはあるものの、コスト面では厳しく、普段づかいにはオーバースペックかもしれません。
また、防水ばかりを重視すると、快適性が損なわれる場合もあります。
ダウンジャケット本来の暖かさや軽さを維持しながら、雨から身を守るにはどうしたらよいのでしょうか?
この記事では、「ダウンジャケットの防水・撥水・耐水機能」について解説します。
「防水・撥水・耐水」の違いや用途にあった機能の選び方、そのほか注目すべき機能についてもご紹介します。
雨や雪など天候に左右されずに、快適に過ごせるアウターが欲しいとお考えの方は、ぜひチェックしてみてください。
【1. ダウンジャケットはなぜ水に弱いの?】
ダウンジャケットの中の主な素材は「ダウン」です。
ダウンとは水鳥の羽根のことで、毛と毛が絡み合わないという特徴により、空気を大量に取り込むことができます。
綿毛に大量の空気を溜め込むことにより、かさが高くなり、その空気が保温材となって暖かさを保つことができるのです。
ダウンには、「水を吸収する」「一度濡れると乾きにくい」という特徴もあります。
綿毛が濡れると潰れて空気の層がなくなるため、途端に保温性が失われてしまいます。
また、小さくなった綿毛同士が絡まり合って固まるため、保温性能を元に戻すにも時間がかかってしまうのです。
ダウンジャケットの大敵は「水濡れ」。
雨に濡れて染み込まないよう、十分気をつける必要があります。
【2. ダウンジャケットの弱点をカバーする機能】
ダウンジャケットの弱点が水濡れならば、ダウンジャケットの表面素材を水に強いものにすればよい。
ということで、さまざまな機能が施された製品が開発されています。
水をはじく素材といえば「防水」「撥水」「耐水」がよく知られている機能です。
混同されがちなこれらの機能はまったく異なるため、用途やシーンに合わせて使い分けましょう。
2-1. 水を通さない「防水機能」
「防水機能」とは、水を通さないことです。
水を遮断し、生地の裏側にまで水が浸透するのを防ぐことができます。
雨に濡れても、防水機能のアウターを着ていれば、中の衣服が濡れることはありません。
ただし、防水加工が施されたダウンジャケットは通気性が悪くなります。
そのため、登山など厳しい環境で着るダウンジャケットとしては適していません。
また、防水機能は永久に続くものではありません。
使用回数を重ねるごとに摩耗や劣化し、機能が落ちてしまうのです。
着用後は汚れを落とし、風通しのよい所で保管するなど、メンテナンスやケアが必要になります。
2-2. 水をはじく「撥水機能」
「撥水機能」とは、生地の表面で水をはじくことです。
生地表面や生地糸に施された撥水コーティングが水分を寄せつけず、水が玉状になり、生地の上を流れ落ちていくような仕組みになります。
ただし、撥水機能は少量の水をはじくだけであり、水量が多い場合は中まで染み込むこともあります。
一般的に、登山用ダウンジャケットには撥水機能が施されています。
撥水加工による機能も、摩耗や経年劣化により低下します。
クリーニングで撥水加工をしたり、撥水スプレーをしたりするなどのメンテナンスが必要です。
2-3. 水に耐え、通過させない「耐水機能」
「耐水機能」とは、生地の中に染み込もうとする水の力を抑える仕様のことです。
その性能は耐水圧と呼ばれ、数値で表されます。
耐水圧が高いほど、水を通さない防水機能を備えたウェアといえます。
ちなみに、一般的な傘の耐水圧は250㎜程度。
耐水圧の目安としては、小雨や小雪をしのぐ程度なら5,000㎜、雨や雪にさらされるスキーやゴルフでは最低でも10,000㎜以上、登山では20,000㎜以上が推奨されています。
耐水機能も、その機能は永久に続くものではありません。
また、耐水圧の高いダウンジャケット製品も販売されていますが、価格が高いうえに、普段づかいにはオーバースペックになってしまいます。
【3. ダウンジャケット選びで防水性よりも注目すべき3つのポイント】
ダウンジャケットを選ぶ際は、防水性よりも重視しなければならない機能があります。
本来の役割である「保温性」、着心地を左右する「機能性」、快適さを左右する「透湿性」に注目して選びましょう。
3-1. 品質をあらわす「フィルパワー」
ダウンジャケットは「暖かくて軽い」ものを選びましょう。
「ダウンジャケットは重い方が、ダウンがたくさん入っていて暖かい」と考えているなら、それは間違いです。
ここでは、品質のよい、「軽くて暖かい」ダウンジャケットを見極める方法をご紹介します。
ダウンジャケットを選ぶ際は、必ず、品質表示タグにある「フィルパワー」を確認しましょう。
これこそが、ダウンジャケットの品質を見極める指標になります。
「フィルパワー」とは、羽毛のかさ高をあらわしたものです。
かさ高いほど空気を多く溜め込むことができるため、暖かいダウンであるといえます。
フィルパワーはダウンの“ふくらみ”をあらわしているものでもあり、その値が高いほど少なくても暖かさを保つ、品質のよいダウンの証でもあります。
つまり、フィルパワーの値が高いほど、保温性と軽さに優れたダウンであるといえるのです。
一般的に、フィルパワー600以上だと良質なダウン、700以上なら高品質なダウンであるとされています。
普段着用なら600以上、アウトドアなら700以上、登山など厳しい環境での着用を想定しているなら800以上のものを選びましょう。
3-2. 着心地を左右する「機能性」
どんな衣類でも、「縫製」や「仕立て」が着心地や快適性を左右します。
ダウンジャケットを選ぶ際は、次のような細かなポイントに注目してみてください。
・ファスナーを首まで上げたときの肌あたりをよくするために、ウインドストッパー(ファスナーを覆う生地)が縫いつけてあるか
・首元や裾からの風の侵入を防ぐ「トグル」がついているか
・フードをかぶったときに風で脱げにくいように、顔周りが小さめになっているか
・使わないときにコンパクトに収納できるか
細かな点ではありますが、このような機能があるのとないのでは快適性が全く異なります。
特に、アウトドアでも着用する予定があるなら、寒さから身を守るための配慮がなされているかを確認すべきです。
3-3. 暑くなりすぎるのを防ぐ「透湿性」
ダウンジャケットは、なにより暖かいのが魅力です。
しかし、保温性のたかさゆえに、活発に動いたり室内に入ったりすると暑すぎて汗をかいてしまうこともあります。
寒い季節、汗を放置しておくと身体が冷えるため、体調不良の原因になりかねません。
そこで重要となるのが「透湿性」です。
透湿性とは、水蒸気を生地の外に出す性能のことをいいます。
水滴になる前の水蒸気の状態の水分を外に逃すため、衣類が湿るのを防ぐことができます。
透湿性に優れたものなら、汗をかいても蒸れにくくなるというわけです。
ダウンジャケットの素材である「ダウン」は本来、透湿性を持つものです。
しかし、ダウンジャケット表面の素材に防水や耐水加工を施すと、ダウンが持つ透湿性が失われるうえ、衣服内にこもった湿気によってダウンが濡れて保温性を失う原因になります。
突然の雨や雪にも耐えうる防水性・耐水性も重要ですが、ダウンジャケット本来の役割である「保温性」を維持するには、透湿性も重視して検討する必要があります。
【4. ダウンジャケットに防水性の高いゴアテックスは不向き?】
アウトドア製品でなじみ深い「ゴアテックス」という素材をご存じの方も多いでしょう。
ゴアテックスは、防水性と透湿性を兼ね備えた素材で、アウターやシューズなどによく使われています。
「防水性と透湿性があるゴアテックスのダウンジャケットなら安心」と思うでしょう。
アウトドア用品店でゴアテックス素材のダウンジャケットを見かけることもありますが、着用シーンによってはおすすめできません。
なぜなら、ゴアテックスの透湿性を上回る結露が発生した場合、中のダウンが濡れて保温性を失ってしまうためです。
動いて汗をかきやすい、天候に応じてダウンジャケットを持ち運ぶ必要のあるアウトドアには向かない素材です。
普段着用としても、オーバースペックといわざるをえません。
【5. 雨から身を守るならダウンジャケットをミドルレイヤーとして着る】
目まぐるしく変わる環境の中で、暑くなり過ぎず、また止まっても寒さを感じない服が理想的。
しかし、防水性や透湿性を考慮すれば、それを一枚のアウターで行おうというのは難しいのが実状です。
登山などのアウトドア・釣り・自転車はもちろん、街中での普段着でも、暖かさを保ちつつ、雨から身を守るにはどうしたらよいのでしょうか?
その答えは、アウトドアの基本にあります。
ミドルレイヤーとしてダウンジャケットを使用することで保温性を高め、悪天候でも安心して過ごせます。
アウトドア時の服装は、「アウター」「ミドル」「ベース」の三層構造のレイヤリングが基本になります。
ベースレイヤーは肌着にあたるもので、その上のミドルレイヤーとして「ダウンジャケット」を羽織ります。
雨や風の影響を受ける場合は、その上にアウターとなるレインウェアや、防水加工が施されたソフトシェル、ウインドブレーカーを重ねます。
このようにレイヤリングすることによって、保温性・透湿性・防水性を兼ね備えた快適な状態を作り出すことができます。
それぞれが弱点をカバーし合うため、極端にスペックの高いものを揃える必要もありません。
レイヤリングは、コストを抑える点でも優秀な方法なのです。
【6. 撥水性・保温性・透湿性を兼ね備えたダウンジャケットなら「FORCLAZ」 】
保温性と軽量性を兼ね備えた高品質のダウンジャケットをお探しなら、フランス最大級の総合スポーツメーカー「デカトロン」の「FORCLAZ(フォルクラ)」シリーズがおすすめです。
フォルクラのダウンジャケットは、ダウン85%・フェザー15%・フィルパワー800CUIN(欧州規格)でつくられた高品質ダウンです(製品により異なる)。
ダウンジャケットには水が染み込まない「撥水加工」が施されており、生地表面が水をはじきます。
急な雨や雪に見舞われても、レインウェアを着たり雨から避難したりするまでの時間、雨から守ってくれるでしょう。
保温性・撥水性のほかにも、着心地や快適性を高める機能が充実しています。
・顔周りが小さめのフードで、風の侵入を防ぐ
・裾からの風の吹込みを防ぐ、調節可能なトグル付き
・首やあごに直接ファスナーがあたらない、ファスナーカバー付き
・リュックのウエストベルトをしてもポケットが使えるよう、ポケットの位置を高めに設定
・リュックを背負った時のずり上がりを防ぐため、裾を長めにしたデザイン
さらに、すべての製品が「軽量」「コンパクト」「耐久性」を重視してつくられているのも特徴です。
登山などの本格的なアウトドアから普段づかいまで、さまざまなシーンに対応するフォルクラのダウンジャケットをご紹介します。
6-1. 登山・トレッキング ダウンジャケット TREK 100撥水
公式価格 8,490円
こちらはトレッキングの愛好家によって、気温が低い登山で快適にビバークできるよう開発されたダウンジャケットです。
保温性がありながらもかさばらないため、登山をする際のミドルレイヤー(中間着)や、カジュアルな普段着にもおすすめです。
左ポケットの内側に押し込めばコンパクトにまとまるため、持ち運びや保管の際も邪魔になりません。
ダブルスライダー仕様のファスナー付きポケットで、細かな貴重品もしっかり管理できます。
今年は新色が追加され、メンズ4色、レディースは5色の豊富なカラー展開になっています。
6-2. 登山・トレッキング フード付きダウンジャケット TREK 100撥水
公式価格8,990~9,990円
前項でご紹介したダウンジャケットと同じ性能をもつ「フード付き」タイプです。
顔周りにフィットするフードで、頭部を暖かく保つことができるでしょう。
寒い季節の登山のミドルレイヤーに最適です。
普段づかいにピッタリの「ウォールナッツブラウン(メンズ)」や、ダークカラーが増える冬に映える「ホワイト(レディース)」など、カラー展開も豊富です。
6-3. 登山・トレッキング ダウンジャケット TREK 500撥水
登山・トレッキング ダウンジャケット TREK 500撥水 メンズ
公式価格 12,900円
こちらは、ダウン90%・フェザー10%・フィルパワー660のダウンジャケットです。
気温0~-10℃にも対応できる保温力があるため、寒い時期の登山やアウトドアにおすすめです。
圧縮して収納袋に入れるとコンパクトに持ち運べます。
小物を収納できるファスナー付きポケットがあるため、貴重品の管理も安心です。
定番カラーのブラックにくわえ、今年は新色ブラウンが追加されています。
6-4. 登山・トレッキング フード付き ダウンジャケット TREK 500撥水
公式価格 14,900円
こちらのダウンジャケットは、ポケットの内側にフリース素材を使用するなど、保温性を重視しています。
動きやすさも抜群で、登山・ハイキングはもちろん、普段使いにもおすすめです。
ファスナー付きのハンドポケットが2つ、胸ポケットが2つ(レディースは1つ)、内ポケットが2つと、ポケットが充実しているため、貴重品もしっかり管理できます。
付属の収納バッグに入れると、直径16㎝×26㎝とコンパクトにまとまります。
6-5. 登山・トレッキング フード付きダウンジャケット TREK 900撥水
公式価格 18,900円
こちらは、ダウン90%・フェザー10%・フィルパワー660CUINのダウンジャケットです。
肩とフードには摩耗体制の高い防水加工、その他の部分には撥水加工が施されているため、少量の雨なら防ぐことができます。
ベンチレーションファスナー付きのため、暑くなり過ぎた場合も脱ぐことなく、体の熱を外に逃がすことができます。
一見、厚手に見えますが、重さはわずか550gほど。
内ポケットに押し込むことで、コンパクトに収納することも可能です。
ファスナー付きのハンドポケットが2つ、胸ポケットが1つ、内側にメッシュポケットが2つと、ポケットも充実しています。
【7. まとめ】
ここまで、ダウンジャケットの防水について解説しました。
ダウンジャケットは水に濡れると保温性を失ってしまいます。
雨や雪で濡れないようにする、または、濡れても生地の中に染み込まない素材のダウンジャケットを選びましょう。
とはいえ、ダウンジャケットは透湿性も重要です。
「完全防水」や「ゴアテックス」など水濡れを防ぐ素材は、ダウン本来の透湿性や軽さ・コンパクトさも失ってしまいます。
シビアな環境でないかぎり、一般的な防水・撥水機能で十分といえるでしょう。
ダウンジャケットの保温性・軽さ・透湿性を維持しながら、雨から身を守るにはレイヤリングが最適です。
ダウンジャケットをミドルレイヤーとし、雨が降った場合には防水機能を持つレインウェアを重ね着しましょう。
寒い季節を暖かく、快適に過ごせるよう、ぜひご紹介した内容をお役立てください。