オリンピックの正式種目に採用されたことをきっかけに広く認知されるようになったボルダリング。
近年では気軽に楽しめる専用ジムも増え、一般の人でも行えるスポーツとして定着しつつあります。
ボルダリングを行う際にまず揃えておきたいのが、専用のクライミングシューズです。
本記事では、ボルダリング初心者の方が押さえておくべきクライミングシューズの種類や選び方、おすすめのモデルをご紹介します。
1. ボルダリングで使用するクライミングシューズの特徴
ボルダリングでは、傾斜の急な壁に設置されたホールド(突起物)を、フリクション(摩擦)を利用して足裏で着実にとらえながら登っていきます。
そのため、「フリクション(摩擦)=摩擦係数×面積×荷重」に基づき、接地面積が広くなるよう平らに設計され、摩擦係数が大きく滑りにくい素材がソールに使用されます。
この点がほかのスポーツシューズやスニーカーとの、もっとも大きな違いといえるでしょう。
また、登っている途中で脱げないよう、フィット感を重視してデザインされているのも特徴の一つです。
初心者のうちは、指が曲がるほどのフィット感に戸惑いをおぼえるかもしれません。回数を重ねるごとに窮屈さにも慣れ、徐々に脱げない安心感や安定感をメリットとしてとらえられるようになるでしょう。
初心者向けのウォールであれば、スニーカーで登るのも不可能ではありませんが、安全性やパフォーマンス性の観点から、専用シューズの使用をおすすめします。
2. 【タイプ別】ボルダリングシューズの種類
ボルダリング用のクライミングシューズは、「着脱方法」「ソールの形状」「つま先の形状」によって、いくつかの種類に分けられます。
2-1. 着脱方法
種類 | 対象 | 着脱方法 | 特徴 |
ベルクロタイプ | 初心者向け | 面ファスナーの付け外し | ・着脱しやすい ・面ファスナーの止め方でフィット感を調節できる ・完璧に自分の足にフィットさせられるわけではない |
スリップオンタイプ | 初心者向け | 足の出し入れのみ | ・着脱しやすい ・余計なパーツがなく軽量 ・足の形と相性が悪いと脱げやすい ・使用するうちにゴム部分が伸びて脱げやすくなる |
シューレースタイプ | 中級者以上向け | ひもの調節 | ・着脱にやや時間がかかる ・自分の好みのフィット感に調節でき、足との一体感を得やすい ・途中でひもがほどける恐れがある ・トゥフック(足の甲をホールドに引っかけるテクニック)しにくい |
初心者の方には、着脱しやすく適度なフィット感のあるベルクロタイプがおすすめです。
難易度の高いウォールに挑戦するようになった際に、より自分の足にフィットさせられプロの愛用者も多いシューレースタイプに変えるなど、レベルに合わせて選択するのもよいでしょう。
2-2. ソールの形状
種類 | 対象 | ソール形状 | 特徴 |
フラットタイプ | 初心者向け | 平面 | ・どんなウォールにも対応可能 ・足になじみやすい |
ダウントゥタイプ | 中級者以上向け | つま先が下に向かってカーブしている | ・傾斜の急なウォールに最適 ・小さなホールドもしっかりとらえられる ・履き心地の悪いモデルが多い |
船底タイプ | 中級者以上向け | 船底のように全体がカーブしている | ・スメアリング(ホールドがない壁に足を押しつけるテクニック)しやすい ・前傾斜には向いていない ・ソールの硬いモデルが多い |
初心者の方、もしくは1足目に選ぶ方が多いのは、足になじみやすいフラットタイプです。
プロも愛用するダウントゥタイプを選ぶ場合は、実際に試着し、ソールの柔らかさや履き心地を確認することをおすすめします。
2-3. つま先の形状
種類 | つま先の形状 | 特徴 |
ストレートタイプ(初心者向き) | かかとからつま先までがまっすぐ | ・癖がなく汎用性が高い |
ターンインタイプ(中級者以上向き | つま先が親指側に集まる設計 | ・インサイドエッジ(親指側)が使いやすく、アウトサイドエッジ(小指側)が使いにくい |
ストレートタイプは、さまざまな登り方に対応できるため、シューズ選びに悩んでいる方や初心者の方におすすめです。
ターンインタイプは、パワーポイントが親指側にくるよう設計されているため、複数のテクニックを使いこなす上級者向けといえるでしょう。
3. ボルダリング初心者必見!シューズ選びの4つのチェックポイント
クライミングシューズの種類を把握したうえで、自分に最適なシューズを選ぶための4つのポイントを押さえておきましょう。
3-1. ソールの素材
一般的に、クライミングシューズのソールには、摩擦係数が大きく滑りにくいラバー素材が使用されています。
デカトロンでは、通常のラバーよりグリップ性能・耐久性・調整力に優れたVibram® XS GRIPを採用したモデルや、グリップ力強化のためラバーに樹脂コートを施した素材を採用したモデルを取り揃えています。
ウォールやホールドを安定してとらえられるよう、ソールにグリップ力に優れた素材が使用されているか確認しましょう。
3-2. ソールの柔らかさ
メリット | デメリット | |
柔らかめ(初心者向き) | ・形が変わりやすく、丸みのあるホールドに密着させやすい ・足裏の感覚を得やすく、体重の乗り具合やホールドの位置を把握しやすい |
・細かいホールドに乗る際、指の力が必要となる |
硬め(上級者向き) | ・傾斜の急なウォールに適している ・剛性に優れ、足を守るプロテクターの役割を果たしてくれる |
・柔軟性がないため足裏感覚を得にくく、踏み込みが浅いと滑りやすい |
初心者の方には柔らかいソールがおすすめですが、柔らかめと硬め、それぞれにメリット・デメリットがあることも把握しておきましょう。
厚みがあるほど、ソールの硬さは増す傾向にあります。
はじめは柔らかいソールのシューズで感覚をつかみ、ある程度経験を積んだのち、好みや登るウォールの形状に合わせて硬めのソールも試されるとよいでしょう。
3-3. 形状でのフィット感
ボルダリングでは、実際の足の大きさよりやや小さめサイズのシューズを選ぶのが一般的です。
もともとクライミングシューズは、足先を少し曲げた状態で履くことを想定して設計されており、つま先が軽く曲がるくらいが理想的とされています。
また、本体の6割以上に伸縮性に優れたラバー素材が使用されており、使っているうちに伸びてくるため、小さめを購入することでより長く愛用できる点もメリットといえるでしょう。
ただ、履き慣れない初心者のうちは痛みが生じやすいため、まずはシューズ内で足がずれることなく適度なフィット感が得られるサイズをおすすめします。
3-4. 足の形との相性
痛みが出にくいことに加え、パフォーマンス性を確保できるシューズを選ぶためには、自分の足の形の特徴を把握し、それに合ったモデルを選ぶことが重要です。
・親指が長い→足先が丸みを帯びたモデル ※日本人に多い
・人差し指が長い→足先が尖ったモデル
・かかとが直角型→ノーマルモデル
・かかとが三角型→かかと部分の傾斜が大きいモデル
中級者・上級者になると、足への負担よりパフォーマンス性を重視し、チャレンジするウォールの形状にあったモデルを選ぶ方もいます。
ご自身のレベルに合わせてシューズの選び方を変えていくことで、さらなるレベルアップをはかれるでしょう。
4. 【厳選】ボルダリングにおすすめのシューズ3選
スポーツ用品メーカーのデカトロンでは、着脱しやすくグリップ性能に優れたクライミングシューズを取り揃えています。
ここでは、その中でもおすすめの3モデルをピックアップしてご紹介します。
4-1. SIMOND(シモン)クライミング シューズ ベルクロタイプ ROCK + - 大人用
自分に合ったシューズでレベルアップをはかりたいクライマーにおすすめのモデルです。
デカトロンのデザイナーと提携インストラクターの共同開発によって誕生しました。
つま先のソールには、優れたグリップ性能を持つラバー素材Vibram® XS GRIPを採用。
硬すぎず柔らかずのほどよい硬さのソールであるため、足裏の感覚がわかりやすく、初心者でも感覚がつかみやすいクライミングシューズです。
2本の面ファスナーで固定するベルクロタイプで着脱もスムーズです。
2本の面ファスナーで固定するベルクロタイプで着脱もスムーズです。
4-2. SIMOND(シモン)クライミング シューズ ベルクロタイプ ROCK - 子供用
足の甲部分が広く開くことで楽に着脱できるようデザインされた、初級・中級のジュニアクライマー向けのモデルです。
足に心地よくフィットするレザーのシューズ部分と伸縮性のあるヒールによって、ボルダリング中の足の痛みが軽減されます。
ソールには、どのような足場でもしっかりグリップできる樹脂コートのラバーが使用されています。
小さめに設計されているため、お子さまが初心者の場合は通常のサイズより2サイズ上、中級者の場合は1サイズ上をお選びください。
4-3. SIMOND(シモン)クライミング シューズ ベルクロ付きスリッパタイプ EDGE - 大人用
難易度の高いウォールに挑戦する、中級者向けのモデルです。
伸縮性あるフックアンドループストラップが付いた、弾力性のあるスリッパのような形状で、着脱を容易に行えます。
Vibram® XS GRIPをつま先部分とヒール部分に採用しており、それぞれ次の利点があります。
つま先部分:小さなホールドで優れたグリップ性を発揮する
ヒール部分:ヒールフックがしやすい
中級者の方には通常のサイズより1サイズ~2サイズ下、上級者の方には2サイズ~3サイズ下のきつめのサイズがおすすめです。
5. まとめ
クライミングシューズには着脱方法やソールの形状、つま先の形状の違いによるさまざまなタイプがあり、フィット感をはじめとする4つのポイントを押さえて選ぶことで、初心者の方も快適にボルダリングを楽しめます。
デカトロンでは、ご紹介したシューズ以外にも、シューレースタイプのクライミングシューズやボルダリング関連の製品を多数取り揃えています。
詳しくは、公式サイトをご覧ください。